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“いつもの”安心感ある手料理/酒房 一福カフェ

“いつもの”安心感ある手料理/酒房 一福カフェ

まちの案内人にお気に入りのお店やスポットを紹介してもらう、「わたしの散歩みち」。今まで知らなかった楽しみ方やディープな情報を見つけて、このまちの「好き」を再発見する散歩へ出かけよう。青葉通り周辺の案内人は『Toxic Works』の間宮貴志さん。今回は、間宮さんの奥さんが懇意にしているお店『酒房 一福カフェ』をご紹介。

自転車店『Toxic Works』の店主 間宮貴志さんの画像

【案内人】間宮貴志 さん
青葉通り周辺の案内人は、細かなパーツまでていねいにオリジナルで自転車を作り上げる自転車店『Toxic Works』の店主 間宮貴志さん。自転車で街を巡るからこそ発見した、とっておきの美味しい店を今回はご紹介。

酒房カフェ・七間町「酒房 一福カフェ」

とっておきの隠れ家を発見

青葉通りから北へすぐ、七間町にあるビルの3階に『酒房 一福カフェ』がある。小型のエレベーターから降りてすぐ右側を向くと、ノスタルジックなステンドグラスのランプが目に入る。喫茶店の雰囲気をどことなく感じるこのお店は、昼間からお酒も一緒に嗜めるという知る人ぞ知る隠れ家的存在。笑顔で「いらっしゃませ」と声をかけてくれたのは、店主の永野真樹さん。4人がけのテーブル席1つに、カウンター6席のアットホームな空間だ。

七間町「酒房 一福カフェ」のドアを開ける女性モデルの画像
七間町「酒房 一福カフェ」の内観画像

ステンドグラスは、永野さんと永野さんのお母さんの手作り

七間町「酒房 一福カフェ」の入り口に置かれたカエルの置物の画像

カエル好きの永野さん。店内にはかわいらしい表情のカエルモチーフの置き物がたくさん


「お客さんが、ホッとひと息をつけるようなくつろげる場所を作りたい」という想いから「いっぷく」という響きをつけたという永野さん。もともと15年ほど喫茶店を営んでいたが、改めて七間町に場所を移して2019年に『酒房 一福カフェ』をオープンした。「喫茶店のときは喫茶のみでしたが、のんびり食事をしながらお酒も飲めたら来る人がうれしいだろうなと、このお店ではお酒も扱うことにしました。喫茶店の名残もちょこちょこあるのが、うちの店らしさでしょうか(笑)」。

七間町「酒房 一福カフェ」の店主が料理をしている画像

着物の上に割烹着を羽織り、お客さんから頼まれた料理を手際よく作っていく。甘辛いタレが食欲をそそる「ぶたごはん」やピリッと辛さの効いた「グリーンカレー」などの「いつでもごはん」は、昼夜関係なく通しで食べられる。「いつもの」が食べられる安心感こそが、心をほっとさせてくれるのかもしれない。

七間町「酒房 一福カフェ」のメニュー「ぶたごはん」の画像

甘辛さが絶妙で、ごはんもお酒もすすむ「ぶたごはん」。タレやドレッシングなどもすべて手作り

七間町「酒房 一福カフェ」のメニュー「ぶたごはん」を食べる女性モデルの画像

体にも心にもやさしい時間を

「自分が食べたくないものは、人には食べさせたくないんです」と、無農薬の玄米や地場産の野菜、お肉は国産のみと、食材に気を配る。また調味料も、有機大豆の醤油や米油、北海道のてんさい糖など、体にやさしいものだ。「一週間に2回食べに来る人もいます。そうすると、その人の健康を担っている責任があるなぁと。いい加減なものは食べさせられないなと、気が引き締まります(笑)」。永野さんの料理は、どこか懐かしさのある「母の愛情」のようなものが感じられる。それは「体がよろこぶもの」を永野さんがごく自然に、当たり前に、選んでいるからだろう。

七間町「酒房 一福カフェ」の店主・永野真樹さんの画像

12〜13時は常連さんがにぎわい、「いつもの」を頼んでいく。そのあとは、少しのんびりとした時間が流れる。喫茶店時代から付き合いのある老舗珈琲店に焙煎してもらったいっぷくブレンドを飲んでのんびりするもよし、とろけるような口当たりのプリンや、バスク地方風チーズケーキ、マロンクリームのシフォンケーキなどの乙女心をくすぐるデザートを楽しむのもよし。週末になれば、窓から見える青空を眺めながら「グラスワインとおつまみ」を注文する青年も訪れるそう。

七間町「酒房 一福カフェ」の日替わりデザート「プリン」を食べる女性モデル

ゆっくりしたい方は13時以降に訪れるのがおすすめ

七間町「酒房 一福カフェ」の日替わりデザート「プリン」の画像

プリンは、香ばしいキャラメルがコーヒーとの相性◎。デザートは日替わりで提供される

「心も体も満たされるおいしい食事」というのは案外難しい。栄養のあるものや健康的なものを食べて「体に栄養を与える」ことはできても、心の底までほっと満たされることはなかなか少ないからだ。それぞれがそれぞれの心地よさを見つけて過ごせる場所こそ、実はとても貴重なのかもしれないとここに来るとぼんやり思う。

七間町「酒房 一福カフェ」の店内に張り出されたメニューの画像

入り口付近に貼ってある手書きのデザートメニューもかわいい

七間町「酒房 一福カフェ」で販売される手作り焼き菓子の画像

永野さん手作りの自然な甘さの焼き菓子をお土産に

ゆるぎない芯の強さが魅力

喫茶店を一度閉めたあとはほかの仕事をしたり他店で働いてみたりと、違うチャレンジもしてみたそう。けれど「やっぱり自分の店がいいな」と、再度店をやることを決めた。喫茶店の経営経験はあるが、夜遅くまでの飲食店を行うのは初めて。店をオープンするときは「大丈夫?」と周りの方がサポートをしてくれたそうだ。「ほかのことができないんです(笑)。私にはこれしかできない。だからやろうと決めました。それからは色んな方が心配したり助けてくれたりして、今もこうやって店をやれています。本当にありがたいことです」

七間町「酒房 一福カフェ」の店主・永野真樹さんの画像

朝、店に到着したら着物に着替えて仕込みからサーブまですべて自らが行う。一人で切り盛りするので一見大変そうだが、永野さんは「このお仕事は、幸せな仕事ですね」と穏やかに微笑む。「おいしいと言ってくれたり、日常から解放されてのんびりくつろいでくれたり、間近でよろこんでいる姿を見られるのは、とてもやりがいを感じます」。

「ありがとう」がすぐ目の前にあるのは、永野さん自身がお店やお客さんを大事にしているからだろう。喫茶店のように気軽に来ることもできるし、一人でゆっくり永野さんとおしゃべりを楽しみながら飲むこともできる。まるで自分の家の延長にいるかのような居心地のよさをぜひ味わってほしい。

七間町「酒房 一福カフェ」で提供される酒瓶が並ぶ画像

日本酒、グラスワイン、ビール、ウイスキーなどを用意。お酒を飲みたい人はとろり鶏レバーやピクルスなどの一品料理を

七間町「酒房 一福カフェ」の内観画像
七間町「酒房 一福カフェ」の日替わりデザート「プリン」を食べる女性モデル

案内人からのおすすめポイント

昼間からお酒を飲めて、のんびりごはんを食べられるのは貴重ですよね。ごはん、スイーツすべて手作りなのがうれしいお店です。


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【ライター】町 紗耶香
フリーランスの編集・ライターとして雑誌や広告に携わる。次世代につなげたい伝統・文化や、大切に育まれた人柄・物事を、本質から伝えたいと日々精進中。


撮影:森島 吉直/モデル:鈴木 茉吏奈

紹介スポット

静岡市葵区

酒房 一福カフェ

七間町の“いつかの店”

更新日:2022/6/24
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