WOMO

中部電力
家族や友達のように、植物と付き合う。『LILWA(リルワ)』

家族や友達のように、植物と付き合う。『LILWA(リルワ)』

さまざまなキーワードでwomo読者がおすすめするスポットを聞き込み調査&取材を実施。今回のキーワードは「観葉植物」。

店内に広がる「小さな世界」

静岡市清水区船越にある観葉植物(エアプランツ)のお店『LILWA』の店内の画像
静岡市清水区船越にある観葉植物(エアプランツ)のお店『LILWA』の外観の画像
静岡市清水区船越にある観葉植物(エアプランツ)のお店『LILWA』の壁にかかっているエアプランツの写真

静岡鉄道 狐ヶ崎駅から車で6分、高架下を抜け、表通りから一本離れた住宅街の奥へぐるりと進むと、観葉植物店『LILWA(リルワ)』がある。

小屋のようなこぢんまりとした佇まいのお店の中を覗くと、あまり見かけない種類の植物がずらっとディスプレイされており、興味の赴くまま、店内に吸い込まれるようにして足を踏み入れた。

店名の『LILWA(リルワ)』は“小さな世界”という意味の“Little world”を意味していて、英語で発音するときの音を取ったそうだ。そう教えてくれたのは、店主の山田さん。

店内にはまさに植物の“小さな世界”が広がっていて、鮮やかな緑に心がときめく。

静岡市清水区船越にある観葉植物(エアプランツ)のお店『LILWA』の壁にかかっているエアプランツを触っている店主山田さんの画像

山田さんは、幼い頃から植物に触れる機会が多かったという。おばあさまが花屋を営んでおり、身の回りに花や観葉植物があるのが当たり前の生活。
「お風呂に入るのとか皿を洗うのと一緒で、植物に水をやったり世話をすることが、何の違和感もなく生活の一部になっていたんですよね。自分の子どもが小さい頃には、“あそこのサツキが綺麗だから見に行こう”とか、植物のあるところに遊びに連れて行くことが多かったみたいで、いつも植物のことばっかり話してるって、妻に言われて気がついたんです(笑)」

ある植物への興味が、「LILWA」への道をつないだ

静岡市清水区船越にある観葉植物(エアプランツ)のお店『LILWA』の壁にかかっているエアプランツの画像

ふさふさとした容姿が特徴のウスネオイデス。土がなくても育つのでお部屋に飾りやすい。山田さんはこれを初めて見たとき、「芝生かと思った」という

店内を見渡すと、天井高く続く一面のエアプランツの植物に圧倒される。180度どの角度にも植物が吊り下げられ、まるで植物図鑑の中に入り込んだかのような感覚に。近くに立てば、植物たちの温度と質感を感じ、それぞれが生き物だということがよくわかる。

「ここで扱っている多くの植物は“ブロメリア”という種類のエアプランツです。木や岩にくっついて生きるタイプとグランド型の地面にいるタイプがあるんです。見ていてとても面白いでしょ」
山田さんは、生き生きとした表情でそう話す。ふと、壁に掛けられているふさふさとした植物を指差した。
「これはね、“ウスネオイデス”と言って、僕がエアプランツにハマったきっかけの植物なんですよ」

山田さんはある日、近所の行きつけのサボテン屋のビニールハウスの入り口に“ウスネオイデス”が飾ってあるのを見つける。初めて見るその植物は、海外から梱包材に巻かれて送られてきたという。エアプランツは鉢が必要ないため、梱包のみで簡単に郵送されてくるそうだ。
「一目惚れして、その“ウスネオイデス”を貰ってきました。そしたら、たまたま別の花屋で同じものを見つけて。自分の貰ったものと似ているけど、何か違うと思い調べてみたら色んな種類がある事を知ったんです。そこからどんどんハマっていって、集めたいと思うようになりました」

静岡市清水区船越にある観葉植物(エアプランツ)のお店『LILWA』のエアプランツの画像

お客さんへ育て方のアドバイスをする際には、「静岡の気候」に合った内容を心がけているという

朝から晩まで植物と向き合う日々を過ごしていた山田さん。徐々に家の中が大好きなエアプランツで埋まりはじめていた。ある日、奥さまからの一言で転機が訪れる。
「朝から晩まで植物の世話するぐらい植物が好きなら、お店やってみたらいいじゃん!」
もともと自分のお店をやってみたいという漠然とした思いを抱えていた山田さんはその一言に背中を押され、奥さまがキャンドルの作家活動と教室を始めるのと同じタイミング・同じ場所で、観葉植物のお店を開くことを決意した。

「店を開くことが決定した頃、まだオープン前だったのですが、静岡市が主催する植物のイベントに参加できる大きなチャンスをいただくことができて。このイベントに出たことで、お店をやっていくうえでの勇気ももらえましたし、お客さまとの出会いの場にもなりました。店舗オープン後もさまざまなイベントに出店し、少しずつ『LILWA』の存在を知ってもらえるようになっていきました」

2017年に現在の店舗の近くにお店を借りて、『LILWA』をオープンさせた。2021年の11月には、奥さまのご実家でもある現在の店舗がある場所へ移転。奥さまのご実家はもともと農家だった為、畑があり植物を増やせる環境があったのだそう。それを活かし、植物がおける温室を建てたり、さらに植物に投資できる環境を整えていった。

静岡市清水区船越にある観葉植物(エアプランツ)のお店『LILWA』のエアプランツの画像
静岡市清水区船越にある観葉植物(エアプランツ)のお店『LILWA』の珍しいエアプランツの画像

ここでしか見ることのできない植物にも出合える

静岡市清水区船越にある観葉植物(エアプランツ)のお店『LILWA』の珍しいエアプランツの画像

手入れの方法などを勘違いされていることも多いというエアプランツ。水やりが好きな種類もあるそうだ

静岡市清水区船越にある観葉植物(エアプランツ)のお店『LILWA』の店主山田さんが手にエアプランツを持っている画像

コロナを機に向き合った『LILWA』のあり方

ターニングポイントは2020年。新型コロナウイルスの流行をきっかけに、イベントの中止や行動範囲の制限など個人店では太刀打ちできない問題が生じ、お店の経営方針を見直すことに。山田さんは、自分で管理し「育てる」ことをさらに強化する形へ経営方針をシフトし、週の半分は植物の管理や育成に費やし、週末だけ店を開けることにした。

そして、コロナをきっかけに変わったもう一つのことは、「身近なお客さんをより大切に考えるようになった」こと。
もともとお客さんと話すことが好きだったという山田さん。お店に足を運んでくれる方々と会話のキャッチボールを交わしていく中で、新たな発見や気づきなど、お客さんから教わることがとても多いそうだ。
だからこそ、山田さんはそのキャッチボールを大切にしている。
丁寧に身近なお客さんと向き合ってきたからこそ、少しずつ『LILWA』のことも知ってもらえたという。

静岡市清水区船越にある観葉植物(エアプランツ)のお店『LILWA』に置いてあるボタニカルキャンドルの画像

ボタニカルキャンドルやドライフラワーを使ったキャンドルレッスンも楽しめる(開催日は『LILWA(リルワ)』のHPで確認を)

静岡市清水区船越にある観葉植物(エアプランツ)のお店『LILWA』に置いてあるボタニカルキャンドルとエアプランツの画像

「エアプランツ」その進化と可能性

山田さんは、エアプランツの性質や今後の可能性についても語ってくれた。「エアプランツって、性質が面白くって。地球上ではまだ誕生してから新しい部類に入るんですけど、進化の過程で他の植物と共存するために自分の体全体から水分を吸って生きているんです。しかもエアプランツは空気清浄能力が高いということが研究で分かってきて。またブラジルなどではハンドクリームや化粧品に使われていたり、年々いろいろな角度でフィーチャーされ、毎年新しい発見をくれる。知れば知るほど深みにハマってどんどん面白くなっていく植物なんです」

今も進化し続けているエアプランツは、まだまだその可能性についてスポットが当たっていないことも多いそう。そのポテンシャルは計り知れない。
皆が少しずつでも興味を持ってくれたら、新たな発見や新たな楽しみ方が生まれるかもしれない。

静岡市清水区船越にある観葉植物(エアプランツ)のお店『LILWA』のエアプランツの画像

植物を育てることは、家族や友達と付き合っていくのと似ている

最後に山田さんは、植物との関わり方について語ってくれた。

「生活の相棒として楽しんでほしいです。植物は生きているから花が咲くし、それだけで心がぽっと温かくなったり、一瞬目があったタイミングで植物の感情を感じ取ることができる。一枚葉っぱが出てくるだけでいい空気が流れる。そういう感覚を感じてくれる方が増えてくれたらいいなと思います」

山田さんは置いてある植物たちを、まるで仲のいい友達のように、愛情を込めて“こいつら”と呼ぶ。
植物を育てることは、飾って楽しいということ以上に、家族や友達と付き合っていく感覚に近いのかもしれない。

静岡市清水区船越にある観葉植物(エアプランツ)のお店『LILWA』の店主山田さんがデザインしたポスターの画像

前職でフリーランスのデザイナーをしていた山田さんがデザインしたグッズやポスターが飾られている。「自分が好きなデザインも植物の世話も、自己完結できる」ということも、自分のお店を開くきっかけの一つになったという

静岡市清水区船越にある観葉植物(エアプランツ)のお店『LILWA』の店主山田さんがデザインしたグッズや洋服(アパレル)の画像

周年や季節ごとにオリジナル服を販売。植物をモチーフにした『LILWA』ならではのデザインが楽しめる

静岡市清水区船越にある観葉植物(エアプランツ)のお店『LILWA』の店主、山田さんが自身でデザインしたパーカーを着ている画像

紹介スポット

静岡市清水区

LILWA

植物図鑑の中に入り込んだかのような店内で 進化し続けるエアプランツに出合える

更新日:2022/3/3

よみものシリーズ