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【第66回】家にこもって「推し」鑑賞~間宮祥太朗出演映画2選

【第66回】家にこもって「推し」鑑賞~間宮祥太朗出演映画2選

「推し」の数だけ喜怒哀楽が増える

筆者:こしあん
映画・ドラマ、Bリーグ、読書、お笑い、カメが大好き。
特技はイントロクイズ(80年・90年代ソング限定)。
怖がりのくせにホラーとミステリーが大好きで、生まれ変わったらFBI捜査官になりたい。
休日にどれだけ家にこもっていてもまったく苦にならない超インドア派。
ゆる~い解説で好きな映画(ときどきドラマ)を紹介していきます!

はじまりは『ボス恋』でした

何年も前から自主的にセルフロックダウンしている超インドア派の私ですが、終わりの見えないコロナ禍に気分が落ち込むこともしばしば。

そんな時、癒しになるのが「推し」の存在。
昨年から今年にかけて、私の中で「推し」の数が増えているのは、そういう影響もあるのかな、とも思います。
一途にこの人だけ! というのもとても尊いですが、「推し」はたくさんいたっていい。俳優さんだけでなく、音楽界、スポーツ界、バラエティ界、アニメ界……あらゆる分野に「推し」がいると、さらに毎日が豊かになります。
好きなものが多いって、それだけでもう、荒野がお花畑になるのです。

敬愛する演劇ライターの横川良明さん著書『人類にとって「推し」とは何なのか、イケメン俳優オタクの僕が本気出して考えてみた』を読み、ますます「推し」がいる人生の素晴らしさを実感。

毎日を生きる中で、呪いをかけたくなるほどイヤなことがあっても、「推し」のドラマを観れば優しくなれる。
この映画が公開される日までは何としてでも生き抜く! というささやかな目標も生まれる。
「推し」が頑張っている姿を観るだけで、心に凛としたものが宿り、力が湧いてくる。そう、「推し」は「フォース」であり「動くパワースポット」なのです。

「推し」のおかげで、興味がなかったものを知るようになり、苦手だったものが好きになったり。何だかわからないけど、急に筋トレとか始めちゃったり。
毎回イライラしながらスキップボタンを押すYouTubeの広告も、「推し」が出ているCMなら正座して見ます。

そんな「推し」について今までは、初めて見たものを親と認識してしまう小鳥のように、初見で「好き!」ってなることが多かった私ですが、今年になって例外が誕生しました。

……そう、間宮祥太朗です。

何気なく観たドラマ『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(以下『ボス恋』)で演じた中沢センパイに瞬殺されました。

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間宮祥太朗ってこんなにカッコよかったっけ?

これは中沢センパイの役柄と間宮祥太朗の魅力がこれ以上ないほどに合致して、アスパラといえばベーコン、ベーコンといえばアスパラ、くらいのレベルに到達したんでしょう。

ドラマ自体はいつかどこかで見たことあるようなベタベタ王道ストーリー、ふわふわキラキラしていて、くすぐったい。そして唐突でブツ切りな感情の流れについていけない……。
「人並みで普通の幸せでいい」とか言ってる主人公・奈未(上白石萌音)も、その恋の相手となる子犬系御曹司・潤之介(玉森裕太)も、そのキャラクターにあまり魅力を感じず。
そこに、最強の当て馬キャラとして降臨する中沢センパイ(間宮祥太朗)。

奈未と潤之介の言動にキュンとするどころかイライラし、男気あふれる中沢センパイのクールな魅力とせつなさにギュッとなる。
どう転んでも、中沢センパイのほうが断然ええ男やないか!
これはもしかして、主役のジャニーズをおさえ、恋愛ドラマの定説をひっくり返し、当て馬キャラが選ばれるという奇跡が起こるのか?! おまえならできる! と応援しつつ、いや待て、こんな女に中沢センパイはもったいない! と喜怒哀楽がゴチャゴチャになり、爆発する。

ドラマ観てるだけなのに、ものすごく疲れました……笑
『ボス恋』本編より、paraviで配信されていた、中沢センパイのスピンオフのほうが断然おもしろかったし、キュンキュンしました。

こうして私は、当て馬キャラ好きということを自覚し、新しい扉がまた一つ開くのでした。当て馬キャラ応援目線だと、主役二人が「何なんだおまえら! 鈍感だな!」というほうが盛り上がるし、くすぐったい恋愛ドラマも冷静に観ていられる。
今のところ、私の中のキングオブ当て馬は『ボス恋』の間宮祥太朗ですが、現在放送中のドラマ『彼女はキレイだった』の赤楚衛二がものすごいスピードで駆け上ってきている、ということを報告しておきます。

『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』の公式サイト


前置きがものすごく長くなりましたが、『ボス恋』で間宮祥太朗の魅力に初めて気付き、さらに深みにハマっていった映画2作をご紹介します。

『殺さない彼と死なない彼女』(2019年)

Twitterから誕生し、「最も泣ける四コマ」「心の処方箋」として共感を呼んだ四コマ漫画の実写映画化。
いつもならあまり興味のないジャンルなのですが、レビューサイトで高評価だったこともあり気になっていて、間宮沼にハマった今ならイケル! と満を持しての鑑賞。

▼『殺さない彼と死なない彼女』予告編はコチラ


待て待て待て待て、間宮祥太朗カッコよすぎぞ。

間宮祥太朗が高校生役って年齢的にさすがに無理がありますよねって思ったけど、何年留年してもいいので続けてください。

こういう女子高生ターゲットみたいな映画で、まさかこんなに泣かされるとは……よもやよもや。なんてこった。

独特な雰囲気のある、高校生たちの群像劇なのですが、3つのストーリーが並行して描かれ、それぞれが少しだけリンクしている。ちょっとした仕掛けのある構成も上手いなぁと思いました。

いろいろともがきながらも、ちゃんと自分や周りと向き合おうとする登場人物たちの感情の流れが自然で、スッと沁みてくるし、応援したくなる。
キラキラしすぎず、ダークすぎず、絶妙なラインで進み、基本、コメディタッチなのでクスクス笑えます。
ほんわか、ムズムズ、キュンキュン、そして時にチクチクしながら、保健室の先生のような気持ちで見守る。

間宮祥太朗と桜井日奈子、二人の掛け合いがとてもナチュラル。この空気感、ホント好き。
……あぁ、間宮祥太朗に無表情で「ブス」って呼ばれたあと、ニヤッと微笑みかけられたい。
こういう高校生活送りたかったなぁ。くそぉぉぉ……。
ほっこりとした気分と同時に、悔しさや妬みの感情も押し寄せてきて、情緒が安定しません……。

ただの恋愛青春モノとは異なり、生きづらさ、孤独感、痛み、憧れ、嫉妬、本当の自分、人とのつながりといったものがきちんと描かれているので、若干の気恥ずかしさを感じつつ、青春をとうに過ぎたおじさん&おばさんにも刺さるストーリー。

うんうん、いいねぇ、青春だねぇ、と、ほんわかしていたところに、まさかの不意打ち。
……そうくるのかぁ。確かにさりげない伏線はあった。間宮祥太朗のクールさに気を取られて油断してたぜ……。

誰かは誰かに必ず影響を与え、そして影響を受けるということ。
それがラストの悲しみ入り混じる幸福感と希望につながっていく。
『未来の話をしましょう』
せつない青春の1ページが、大人になってからもずーっと続いていく、明日を生きるための糧になる。

食わず嫌いせずに、本当に観てよかったーと思える作品でした。
これもひとえに、「推し」のおかげ。

『殺さない彼と死なない彼女』公式サイト

『劇場版 お前はまだグンマを知らない』(2017年)

わかりやすくいうと、『翔んで埼玉』の群馬版。でも、こちらのほうが公開は早く、原作はマンガで、アニメやドラマ版もあったんですね。

こういう郷土ネタは大好きなので、馴染みのなかったグンマのことをいろいろ知れて、とにかく笑えました。
群馬を「グンマ」とカタカナ表記するところが何気に好き。グンマはもうグンマですね。改名してほしいくらいです。

▼『劇場版 お前はまだグンマを知らない』予告編はコチラ


間宮祥太朗の振り幅スゴすぎ! 顔芸ヤバい!
この標高差、アカギ山よりデカいです。

いや、あなた、ここまでやるとは……身体張りすぎ。
素晴らしい!!! ますます惚れました。

終始、笑いっぱなし。こういうおバカな青春映画は世界を救います。今夜は健やかに眠れそうです。

郷土愛っていいですよね〜。
ものすごくくだらないノリなのに、ちょっとミステリー要素もあり、ちゃんと伏線回収しちゃってるし。
グンマ、イバラキ、トチギの北関東三つ巴の争いも、鉄板だけど面白かったです。

ロバート山本の担任役が見事にハマっていて、特に何もしなくても、出てくるだけで笑っちゃいました。存在感ないのに、ある、みたいな。

この映画で共演している吉村界人は、現在放送中のドラマ『IP~サイバー捜査班』でも共演してますね。
あ~、グンマーコンビだ! とニヤニヤしながら観ています。二人とも、この映画でのおバカさを全く感じさせないクールさ。役者さんってホント、すごいなぁ。

 


映画の話に戻りまして、ひとつだけ贅沢を言わせていただくと、話はめちゃくちゃ面白いんだけど、演出はわりと普通で新鮮味がなかったかなぁ。逆に終盤の演出は、やりすぎててちょっとさむかったです……。
監督は、『月曜から夜ふかし』のディレクターなんですね。確かに、この面白さは映画的ではなく、バラエティ的でした。

しかしそんな小さな好みの違いは、間宮祥太朗の体張りすぎの全力少年っぷりが全部吹き飛ばしてくれるのだ。
これもひとえに、「推し」のおかげ。

それはそうと、世界3か国(4か所)にしかないハーゲンダッツの工場がグンマにあるとは! それが一番ビックリでした。グンマ、すごいよ!

【忘れちゃいけない一口メモ】
《グンマの3B》
BOØWY
BUCK-TICK
back number

『劇場版 お前はまだグンマを知らない』公式サイト

「人生の楽しみは喜怒哀楽の総量で決まる」と、どこかの偉い方(ライフネット生命創業者の出口治明氏)がおっしゃってました。
「推し」の数だけ喜怒哀楽が増える、と私は思うのです。
みなさまも、家にこもって「推し」の作品を片っ端から鑑賞し、身もだえしながら、この厳しい局面を乗り切りましょう。

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更新日:2024/3/28
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