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womoシネマ伝道師こしあんの『ぐるぐるシネマ迷宮』 筆者だけの思い出調味料満載の懐かし作品から、あまり共感を得られないようなディープな作品まで、密かな魅力いっぱいのシネマ迷宮へようこそ。出口はたくさんあります。 ライター:こしあん

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【第53回】ミッドサマー(2020年)

明るすぎることの不気味さ

筆者:こしあん
映画・海外ドラマ、Bリーグ、読書、お笑い、カメが大好き。
特技はイントロクイズ(80年・90年代ソング限定)。
怖がりのくせにホラーとミステリーが大好きで、生まれ変わったらFBI捜査官になりたい。
休日にどれだけ家にこもっていてもまったく苦にならない超インドア派。
ゆる~い解説で好きな映画を紹介していきます。

『ミッドサマー』(2020年)

スウェーデンの田舎の村のおまつり? 90年に一度の特別な日?
白夜だからずっと明るいの? 何それ、ステキ~!
民族衣装とか花飾りとか踊りとか、か~わ~い~い。
なんかもう、オシャレ! とにかく、オシャレ!
行きたい、行きたい、行きたい!

……そんなアナタにお届けする“フェスティバル・スリラー”。
前作『ヘレディタリー/継承』で、新感覚の恐怖と絶望感を紡ぎ出した、新進気鋭のアリ・アスター監督による最新作『ミッドサマー』。
2月21日より絶賛公開中です。

▼予告編はこちら


すっごい作品でした。

さながら、誇張しすぎた【世界ウルルン滞在記】とでも言いましょうか。
情緒不安定な女子大生がぁ〜
スウェーデンの小さな村でぇ〜
究極の狂気と癒しにぃ〜 出会ったぁ〜

あるいは、『笑ってはいけない奇祭24時』。
恐怖と紙一重のシュールな笑いも散りばめられております。

何だろう、もう、どう表現すればいいのかわからない。
いろんな種類のゾワゾワ感におそわれました。
ルールの分からないゲームに参加させられてるような居心地の悪さと緊張感。

いきなり序盤から暗〜く不穏な展開の連続に打ちのめされ、これ以上もうやめてっていうくらいの気持ちになり、村へと車で向かう途中の意味深なカメラアングルにゾクゾク。

澄みわたる青空の下で、カラフルな花々に彩られ、真っ白な服を着て、にこやかに踊るホルガ村の人々。
ステキ~。
でもなんか、朗らかすぎてちょっと不気味~。

白夜でずっと明るいままだから、一日のリセットができなくて、気味の悪い白昼夢が続いているような気分になってくる。

知らない土地の独特の文化や風習って、神秘的で崇高だけど、どこか奇妙で滑稽。
味わったことのない感覚に脳をかき乱され、常識って何なのか?と心を揺さぶられる。

誰かにとってはユートピア、誰かにとってはディストピア。

はじめは何これ、と戸惑いながらも、一体感と高揚感で気持ちがよくなり、「自分は受け入れられている、ここにいて良いんだ」というナゾの安心感を得るようになる。

これは究極のデトックス、解放、再生を描いた作品なんだろうな。
なぐさめるのではなく、全力で同化し分かち合う。そして、誰にも分かってもらえなかった悲しみや苦しみが癒されていく。
混乱しながらも、最後はどんどん浄化されていくようで、ちょっと泣きそうになりました。

タペストリーや壁の絵はキモかわいいし、女性の衣装や花飾りはオシャレだし、テーブルにズラリと並ぶ食事シーンは芸術的。
映像はカラフルで優雅で「映える」風景ばかり。だからこそ、気持ち悪い。
不安をあおるBGMと、何言ってるのかよく分からない歌声も、美しくて怖い。

監督自身はこの作品を「恋愛映画」だと言ってますけど、まぁ、確かにそうなんだけどね……誇張しすぎ笑
まだ付き合いの浅い初々しいカップルで観に行くのは、やめたほうがいいかと思います……。気まずいので……。

あと、わりとヤバめの描写もありますので、そういうのが苦手な人は気を付けてくださいね。面白さが半減するので詳しくは言いませんが、「R15指定です」ということだけはお伝えしておきます。

実は鑑賞直後はモヤモヤした部分が多く、正直イマイチかなぁと思っていたのですが、なぜか数日たってからジワジワ効いてくるんです。
まるで漢方薬のよう。苦味も含めて。

気持ち悪さ、後味の悪さは、ある種の「好転反応」。不思議な魅力がクセになり、そんなに美味しいわけじゃないのに、なぜかまた食べたくなるような味わいでした。

『ミッドサマー』公式サイト

更新日:2020/5/5

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