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womoシネマ伝道師こしあんの『ぐるぐるシネマ迷宮』 筆者だけの思い出調味料満載の懐かし作品から、あまり共感を得られないようなディープな作品まで、密かな魅力いっぱいのシネマ迷宮へようこそ。出口はたくさんあります。 ライター:こしあん

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【第43回】こんな人“いるいる感”が絶妙な妻夫木聡に惚れ直す作品4選

気が付くとそこにいる、妻夫木聡

筆者:こしあん
映画・海外ドラマ、読書、お笑い、カメが大好き。特技はイントロクイズ(80年・90年代ソング限定)。
怖がりのくせにホラーとミステリーが大好きで、生まれ変わったらFBI捜査官になりたい。
休日にどれだけ家にこもっていてもまったく苦にならない超インドア派。
ゆるい解説と小学校から上達していないイラスト(ときどき)で、好きな映画を紹介していきます。

向かいのホーム、路地裏の窓……こんなとこに、いそう!

いつからだろう、妻夫木聡がこんなに演技派だと気づいたのは……。
どこにでもいるような人にサラリと同化してしまう、妻夫木聡。
12月7日から公開された『来る』を観て、改めてその素晴らしさを実感したので、“いるいる感”を堪能できる妻夫木作品をご紹介します。

来る(2018年)

ただいま絶賛上映中の映画『来る』。
▼予告編はコチラ

監督・脚本は『告白』『嫌われ松子の一生』『下妻物語』などの中島哲也。
この監督の映画は私好みの作品が多いので、きっと『来る』も面白いはず! と期待していましたが、気持ちのいいツボ押されまくりでした。

ホラーというよりも、人間の心の闇をあぶり出すミステリー。

登場人物それぞれの裏側にあるイヤな部分や闇を次々と見せられるので、すごい疲れた……でもこういうの大好き…笑。さすが中島哲也監督! って思いました。
映像もスタイリッシュで、オープニング、めっちゃカッコいい。
妻夫木聡が演じる、人の心の機微にうとく、「空っぽで薄っぺらいリア充」がもう、リアルすぎてサイコー。結婚披露宴のノリとかイクメン気取りの子育てブログとか、そこらへんにゴロゴロいそうですもん。

そういう「いじわるな目線」で描くシーンがすごく好き。

映画を観ている時は、「なんなん、コイツ、ダンナとしてサイテーじゃん」って思ったけど、大切にすべき人をないがしろにして、関係の薄い人や顔も知らないような人からの評価のほうに気を取られてしまうって、けっこう自分もやっちゃってるよね……と反省しました。

反対に、妻の黒木華が追いつめられて壊れていく感じもリアルすぎて、見ているだけでこちらもやられそうになる。ボタンをひとつ掛け違えれば、誰にでも起こり得る日常的な怖さが、とても自然に描かれていたと思います。


悪霊も悪人も、人の弱いところにつけ込んでくる。

アレは人の心の闇をエサにして強大になり、誰のところにも、アレは「来る」のだと。

全国の霊媒師たちが集結するところや、悪霊に対しても礼を持って迎え入れるという考え方がカッコいいし、祓いの儀式も斬新すぎてニヤニヤしちゃう。

前半はものすごくリアルな人間関係が描かれ、後半で急にマンガ的な展開になりますが、各登場人物のキャラクターがしっかりしていてブレないので、違和感なく引き込まれていきます。
それぞれの心の葛藤もちゃんと描かれているので、見応えがあり、誰かのどこかには感情移入できる部分があるはず。

まさに新感覚のホラーエンタメ。私はこういう作品、大好きですね。

『来る』公式サイト


悪人(2010年)

原作の小説が大好きで、妻夫木聡主演で映画化されると聞いた時、「妻夫木じゃカッコ良すぎるでしょー、リアリティないわー」って思った自分を殴りたい。

それまでは、妻夫木聡って見た目カッコイイだけで演技はそれほどでも……なんてエラそうに思ってましたが、『悪人』の素晴らしい演技を観て、ゴメンナサイゴメンナサイとひれ伏しました。

妻夫木感ゼロ。
地方都市で暮らす、孤独な闇を抱えた青年にしか見えない。暗く伏し目がちで感情の乏しい表情が秀逸。


本当の悪人って何なのか、善人って何なのか。加害者が100%悪でもなく、被害者が100%善でもない。

どうしようもない孤独感、閉塞感、絶望感が見事に描かれていて、その救いのなさに息が苦しくなってくるのですが、それでもほんの一滴だけの希望も残す作品。
灯台のシーンが美しくて悲しい。


ぼくたちの家族(2014年)

何でも一人で背負い込んでしまう生真面目な長男役の妻夫木聡、軽薄そうに見えて実は繊細な次男役の池松壮亮。
この二人の大げさじゃない自然な演技が素晴らしい!

兄弟二人のキャラクターの対比が秀逸。何気ないやりとりがとてもリアル。

感動を押し付けがちな家族モノや闘病モノって苦手ですけど、この映画はそれとは別物で。
キレイごとだけじゃなく、リアルな家族の実情が描かれている。きっかけは母親の病気だけど、家族それぞれの再生、成長の話なので、こういう作品はとても好きです。


登場人物それぞれの立場に感情移入しちゃうという稀有な作品。なので、いろんなシーンでいろんな種類の涙と感情があふれました。
「妻夫木の嫁めっちゃイヤなヤツ!」って思ったけど、でも正論なんだよねぇ。

前半、八方塞がりすぎて、重苦しさがハンパなくて、鉛を食わされたような絶望感しかなくて……。母親が家族のことを家族と認識できなくて、彼らに対する本音を目の前で話しちゃうシーン、辛すぎて見てられない……。

でも後半、息子二人が覚悟を決めて行動を始めるところからは、兄弟っていいなぁと羨ましく思いました。
誠意のない医師もいれば、親身になって助けようとしてくれる医師もいるんだよねぇ、医者も人間だしなぁって。

他人事ではなく、明日にでも、自分がどの立場にもなり得るリアルさがありました。
朝の占いに影響されたりとか、「あるある、こういう時!」っていう、さり気ないシーンがすごく良い!


怒り(2016年)

以前に、【第37回】こしあんが泣いた! 人生で一度は観るべき、心ふるえる感動作5選でも紹介しましたが、妻夫木聡の演技にふるえて泣きました。

この作品も『悪人』と同じく、吉田修一原作&李相日監督のタッグなんですね。最強です!

妻夫木聡の役どころは、綾野剛演じる素性のわからない男と同棲する、ゲイのサラリーマン。
すごいよ、妻夫木! アンタ、本当にすごいよ!

取り返しのつかない、やり場のない悲しみ、自分自身への怒り。
これは泣くよ……むせび泣くよ……。

2018/12/21

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