WOMO

あのCMのロケ地をめぐる、静岡の“すてき”な場所

あのCMのロケ地をめぐる、静岡の“すてき”な場所

最近テレビや静岡駅大型ディスプレイで流れている『静岡ガス』のCM。どこか懐かしい映像は、静岡市で暮らす人々やお店の姿が切り取られており、画面の向こうにまだ知らない静岡があるようだ。CMに登場した4店舗をめぐり、静岡の“すてき”な場所を再発見してみよう。

image-42206-0

穏やかな昼下がり、見慣れた静岡の町並みをのんびりと歩く。
今まで知らなかった場所に向かうと思うと、いつもの景色が違って見える気がしてくる。

“自分のため”に穏やかなひとときを過ごす『ヒトヤ堂』

image-42206-1

最初に訪れたのは『ヒトヤ堂』。築50年の建物をリノベーションして生まれた、宿泊もできる喫茶店だ。1階が喫茶店、2階と3階がゲストハウスになっている。

image-42206-2

ひとたび足を踏み入れれば、店内には心地よく、どこか懐かしい雰囲気がただよう。
そっと腰かけた位置からあたりを見回すと、店主が選んだ本をはじめ、テーブルや椅子、照明までこだわりのものが並び、それぞれかわいらしい表情に見える。
窓から柔らかな光が差し込む中、1階の喫茶スペースでゆっくりひと休み。

image-42206-3

店主の村松さんに、『ヒトヤ堂』についてお話を伺った。

「泊まりの方も喫茶利用の方も、個々の時間をゆっくりと過ごしてもらうことを大切にしています。会話や交流を楽しむのもよし、一人で静かに過ごすのもよし。あらゆる“自分のための時間”を楽しんでほしいと思うんです」

image-42206-4

おすすめは、風味の豊かさを堪能できる「サイフォン珈琲」。懐かしい雰囲気が漂うサイフォンで、自分の一杯のためにていねいに淹れられたコーヒーは、格別な味わいだ。

季節ごとにフレーバーが変わる「クリームソーダ」も人気。季節限定メニューは、旬の食材を楽しめるように開発され、毎回楽しみにしてるお客さんも多いそう。

小腹が空いたときには、季節のジャムトーストもおすすめだ。

image-42206-5

訪れた日の季節のジャムは「イチジク」。ほんのりとした甘酸っぱさに、思わず秋を感じる

image-42206-6

焼きたてさっくりの厚切りトーストに、『ヒトヤ堂』特製の季節のジャムを添えてがぶりとかぶりつけば、バターの香りとまろやかな甘みが口の中に広がる。

image-42206-7

日々の休憩や、旅の宿泊につい訪れたくなる『ヒトヤ堂』。
忙しい日々からそっと距離をおきたい、そんな時。ほっと一息をつくことができるこの空間が、いつでもわたしたちを迎え入れてくれる。

『ヒトヤ堂』ホームページ

『ヒトヤ堂』Instagram

思いがけない一冊に出合える『本とおくりもの ヒガクレ荘』

image-42206-8

次に訪れたのは、姉妹店の『ヒトヤ堂』からもほど近い『本とおくりもの ヒガクレ荘』。
『ヒトヤ堂』店主の村松さん達の“こんなお店があったらいいな”が形になり、2020年にオープンした。

人宿町の賑やかな通りに面した建物の間をすり抜け、まっすぐ奥へ向かうと、その先にはどこか不思議な空間が広がっている。

image-42206-9

入口付近に設置された、“棚主”一覧表

ここは、小さな本屋の集合住宅。本棚それぞれに“棚主”とよばれる店主がいる。
それぞれの本棚は棚主の個性が光り、思わず一冊一冊を手に取りたくなってしまう。

image-42206-10
image-42206-11

「棚主という形を取り入れたのは、お客さんたちが小さな本屋を体験できる場所を作りたかったから」と、村松さんは話してくれた。
『本とおくりもの ヒガクレ荘』は「本屋を営んでみたい」という夢を叶えることができる場所でもある。

image-42206-12

心惹かれる本にそっと手を伸ばす。誰かに選書され、想いが詰まった本はとても魅力的だ。

それぞれの好みや視点を大切にした“小さな本屋”だからこそ、思いがけない一冊に出合える楽しみがある。心地良い空気感のなか、つい時間を忘れてお気に入りの本を探した。

『本とおくりもの ヒガクレ荘』では、こうして棚主から本を手に取った誰かへ“本の魅力”が繋がれていく。

image-42206-13

定期的な『ヒトヤ堂』と『本とおくりもの ヒガクレ荘』のコラボ企画として、ゆっくりと読書を楽しむことができる「ヒガクレ喫茶」も開催している。
夕暮れどきにオープンし、『ヒトヤ堂』の喫茶メニューをいただきながら、しんとした空気の中で本と向き合う時間。普段とは違う『ヒトヤ堂』の表情を見れるのも魅力的だ。

image-42206-14

『本とおくりもの ヒガクレ荘』店主の小島さんは、消しゴムハンコを使ったグッズも制作している。静岡ならではのものや、季節のモチーフ。そのやわらかなタッチと色合いに、思わずほっこりとした気分になる。
店名にもなっている、“おくりもの”にもぴったりだ。大切なひとを思い浮かべながら、ゆっくりと選びたい。

『ヒガクレ荘』Instagram

日々を彩る花の魅力に触れる『SNUGGERY flowers(スナゲリーフラワーズ)』

image-42206-15

次に訪れたのは、『SNUGGERY flowers』。店舗前にずらりと並ぶめずらしい植物に、思わず目を奪われる。

image-42206-16

シックな色の壁紙に映える、色とりどりの花々がふわっと香り、まるで豊かな自然の中にいるような気分になる。

image-42206-17

柔和な表情が魅力的な、スタッフの高橋さん。花のように穏やかでやさしい印象だった

「“スナゲリー”とは、“心地良い”という意味があります。花は、言葉以外で想いを伝えることができるもの。コロナ禍になり、遠方で会えない方に花を贈りたいという方や、おうち時間を楽しむために、花を飾る方が増えました。あらためて、花が持っている力を実感しています」と、スタッフの髙橋さん。

image-42206-18

“やわらかな色合い”というリクエストで作ってもらった小さなブーケ。
白と薄紅色の組み合わせがやさしく、思わず“素敵!”という声が漏れた。

image-42206-19

『SNUGGERY flowers』は、見慣れた空間を一変させることができる“花の魅力”に気づかせてくれる。空間の彩りの変化だけでなく、花に触れたわたしたちの心も、徐々に穏やかになっていくのがわかった。

image-42206-20

お店のこれからについて、高橋さんに尋ねてみた。
「こうやって花屋を続けていられるのは、生産者の方や、花を運んでくれる方、さまざまな方の協力があってこそ。こういったつながりを大切にしながら、お客さんに花の魅力を届け続けていきたいですね」

高橋さんの“まごころ”や“想い”は、店内の花々の表情にもあらわれている。
一人ひとりの花に対する疑問にていねいに答えてきた高橋さんだからこそ、自然とまた訪れたいと思えるお店づくりができるのだろう。

『SNUGGERY flowers』ホームページ

『SNUGGERY flowers』Instagram

創業百年『多可能』のこだわりの味と、歴史を感じて

最後に訪れたのは、大衆酒場『多可能(たかの)』。
県内外の常連客が足しげく通う、2023年で創業100年になる名店だ。

image-42206-21

のれんをくぐるのに少し勇気のいる、貫禄のある雰囲気。常連さんの後に続き、自分も中に入ってみると、明るい声で「いらっしゃい!」と店主の高野さんが出迎えてくれた。

「“初めて来たから、どんなふうに過ごしたり、何を頼んだらいいかわからない”という感覚も、また楽しいもの。気負わず、気になったことはなんでも聞いてみて」

image-42206-22

カウンターにずらりとかけられたお品書きの数は圧巻。思わずどれにしようか迷い、おすすめを店主に聞いたりしながら、このお店ならではのアットホームな会話を楽しむ。

『多可能』の魅力のひとつである、“趣のある店内”。『多可能』は、昭和14年の静岡大火と太平洋戦争の静岡空襲で2度焼失しながらも、再建を遂げた。当時の間取りを引き継ぎながら、時代の流れとともに少しずつ修復し、現在の形に変化してきたのだ。
店内の立派な柱は、再建当時のまま今も残っている。

image-42206-23

高野さんは、この柱に背をもたれてゆっくりとカウンターを眺める時間が好きなのだという。

image-42206-24

焼き鳥や揚げ物をつまみながら、好みのお酒などをくいっとひと口。営業中の店内は、和やかな笑い声と会話が響き渡り、賑やかな雰囲気だ。常連さんから、最近は一人旅の女性までお客さんの層もさまざま。

image-42206-25

芯のある雰囲気の店主 高野さん。飾らないその人柄も、お店が愛される理由のひとつだろう

「うちのこだわりは、こだわりがない所。誠意を持って営むのは当たり前だから、その時にできることを精一杯のかたちで提供する。時代に合わせて変化しながらも、ここで長く続けてきた形も大切にしていきたい」と、高野さんは話してくれた。

image-42206-26

静岡ならではの「黒はんぺんフライ」は、『多可能』でも愛されるメニューのひとつ。サクサクとした食感と黒はんぺん特有の風味がたまらない。黒はんぺんは、何十年もの付き合いがある焼津の生産者さんから仕入れているそうだ。「こういったご縁が続くことがありがたい」と、高野さん。

image-42206-27

静岡の居酒屋ではメジャーな「お茶割り」も、高野さんは手を抜かない。
「島田市産の深蒸しのお茶を臼で挽いたものを使用しています。手間はかかるけれど、この方がやっぱりおいしいから」

一つひとつのメニューに、ていねいな下準備がある。それすらも、『多可能』にとっては日常なのだろう。長く愛される理由がここにある。

image-42206-28

銅でつくられた燗銅壺(かんどうこ)=燗酒を作るための機械。職人の手で作られ、創業当時から使っているもの

image-42206-29

静岡ガスのCMに登場した4店舗をめぐり、それぞれのお店の素敵な想いに触れることで、静岡という街がより一層好きになった。
何よりも、また訪れたいと思える場所ができたことが嬉しい。

今回紹介をしたスポットが映るCMはこちら。どのお店がどのシーンで登場しているか、ぜひ探してみてほしい。

静岡ガスCM 街とともに、あなたとともに。「街が動く」篇

「あのCMのロケ地をめぐる、用宗の“すてき”な場所」はこちら

「あのCMのロケ地をめぐる、用宗の“すてき”な場所」

紹介スポット

静岡市葵区

泊まれる純喫茶 ヒトヤ堂

レトロなインテリアが魅力のゲストハウスに併設された、泊まれる純喫茶

更新日:2024/4/10

よみものシリーズ